負債を抱えていても事業を引き継ぐことは可能?
事業を営んでいるご家庭で生まれ育った方は、会社を引き継ぐことも念頭に置いている方も多いのではないでしょうか?
親族内承継の場合、長男が引き継ぐ文化だったりしますよね。代々続く家業の場合、学生の時から手伝っていたという方も少なくないはずです。
しかし、どんな事業も水ものと言われており、時代と共に需要と供給が大きく変動します。
たとえば、2020年に大流行した新型コロナウイルス感染拡大により、廃業に追い込まれた経営者の方は数知れず……。負債を持ちながら、事業を営んでいるという方もいらっしゃいます。
今回は、負債を持った事業を引き継ぐ場合についてまとめてみたので、ぜひ、参考にしてみてください。
事業承継は負債を抱えているとおすすめできない
負債を抱えている事業を引き継ぐ場合、リスクが伴います。
負債を抱える事業を引き継ぐと、
- 負債を後継者が引き継ぐ
- 連帯保証も引き継ぐ
上記のようなリスクが伴うので、基本的に、事業承継はおすすめできません。
1.負債を後継者が引き継ぐ
後継者が事業承継をする場合、経営権と同時に負債も引き継ぐことになります。
事業に関係するもの全てを引き継ぐからですね。資産となるものを引き継ぐことができる反面、負債となるものも承継することになります。
負債の返済は、スケジュールに沿って、会社の収益で行いますが、土地や建物等の不動産を売却する場合も。
全て売却して、負債が残っている場合は、自己破産を申請することが可能です。経営者の方は、後継者に事業を引き継ぐ場合は、事前に説明をしておくようにしてください。
2連帯保証も引き継ぐ
事業を引き継ぐ場合、連帯保証も引き継ぐことになります。
大手企業と比べて、中小企業は財務状況が不透明な部分が多いため、債権者の安全性を確保するために、連帯保証を要求することが一般的だからです。
現経営者は、事業を失って連帯保証人としての役割を果たせなくなるので、後継者に連帯保証を引き継ぐことになります。
後継者に事業を引き継ぐ場合は、連帯保証人になることを伝えておきましょう。
事業承継は会社のトップに立てて、資産を引き継ぐことができるメリットがありますが、負債だけでなく、連帯保証人になることを理解しておきましょう。
負債を抱えた企業を事業承継するには“分社化”
負債を抱えている事業を、後継者に譲りたいと思う経営者は少ないでしょう。負債の負担を減らせる方法についても解説していきます。
分社化すると収益性の高い事業のみを引き継ぐことが可能
複数の事業を抱えていた場合、黒字の事業だけを集めた会社と赤字の事業を集めた会社で分社化しましょう。
分社化する理由は、負債額を軽減できるからです。分社化して、後継者の返済負担を軽減できるようになるため、事業展開もしやすくなります。
会社の財務状況が良くなれば、新しく融資を受け取ることも可能。返済負担も軽減できるため、分社化はおすすめの方法と言えるでしょう。
債務超過を回避可能
分社化することで、債務超過を避けることができます。
分社化で持ち出す負債は、資産とバランスが取れる範囲に抑えることができるからですね。
たとえば、5,000万円の負債と3,000万円の資産があったとしましょう。3,000万円の負債と3,000万円の資産を持ちだすことで、負債は0円になります。
残された負債2,000万円は、返済義務が生じるため、連帯保証がない場合は、法人の破産手続き、もしくは経営者の分割払いによる返済や個人資産での支払いを行います。
分社化することで、債務超過を防ぐと同時に、会社をキレイな状態で引き継ぐことが可能です。
負債のある会社を引き継ぐ前に確認すべきこと
- 資産と負債を把握
- 事業再生
事業承継をする際は、資産額と負債額を明確に把握するようにしましょう。
中小企業・ベンチャー企業の経営者は、個人資産と会社の資産が混同しているケースが多いため、事前に把握しておくことが重要です。
後々、前任者が抱えていた負債が見つかったことで、トラブルの元になることも考えられます。
まとめ:負債がある事業は引き継がない方がおすすめ
事業承継をする際は、事業の経営権を握れるメリットがある反面、負債を抱えることになります。
しかし、分社化することで、債務額を減らすことも可能です。負債を背負っている経営者の方は、事業を後継者に引き継ぐ前に、負債額と資産額を把握してから、手続き等を進めるようにしましょう。
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