なぜ失敗するのか?事業承継で起こり得るトラブルや問題

事業承継

会社からどのように退き、会社を誰に引き継ぐのかという問題は経営者に一度は訪れる大きな悩みの一つだと思います。また事業承継は複雑で難しく、様々なトラブルが起こる可能性があります。

そこで今回の記事では事業承継が失敗してしまった場合にどのような結果が招かれるのか、そして実際にはどのような失敗が起こるのか、また失敗しないためにどのようなことに意識して対策すれば良いのかまで詳しく紹介していきます。

事業承継の失敗が招く結果

業績不振になる

事業承継を失敗した結果、業績が悪化してしまったというケースはよくあることです。

中小企業の経営においては特にその会社の命運を経営者が握っていると言って良いほど会社においての経営者の影響力は大きいものです。

この場合の原因として後継者の力不足や承継時期のタイミングが悪かったことが考えられますが、総じて準備不足だったということが大きな要因だったと言えるでしょう。

事業承継は想像以上に丁寧に行う必要があり、準備期間を要するものだということを認識することが大切です。勢いだけで事業承継に取り掛かっても承継後に業績改善どころか深刻な業績悪化を招いてしまう恐れがあります。

資金繰りが悪化する

事業承継に失敗すると資金繰りが悪化してしまう可能性があります。事業承継の失敗により業績不振になってしまうと金融機関からの信頼を失うことにも繋がり資金調達が難しくなってしまう恐れがあります。

資金調達が困難になってしまうと資金繰りも悪化し、会社の業績がさらに悪化してしまう事態を招いてしまいます。

そうなると人件費の削減などをやむなく選択しなければいけない可能性があり、想定していた事業承継によるシナジー効果や事業拡大などとはかけ離れた事態に陥ってしまうことも考えられます。

退職者が増える

事業承継が失敗することで会社にとっての貴重な財産であり、仲間でもある従業員が多く退職してしまうということが考えられます。

従業員が会社をやめてしまう理由には様々なものがあると考えられます。そのうちの例の一つとして事業承継に伴い経営者が変わったことにより会社の経営方針が大きく変わったというものがあります。

従業員が会社の新しい経営方針に賛同できないということもあります。また経営者が変わった途端、急速に社内改革を進めたことによって社員が置いてけぼりになり、新しい会社の方針についていけなくなったということもあります。

経営者や従業員含め、社内での意思統一が欠かれてしまった会社では生産性の低下や社内の雰囲気の悪化は免れないでしょう。

人件費削減などで給与が減額するなどの条件面の変更で退職を希望するということも考えられます。

会社にとって人材はとても重要です。人材を流出させないためにも事業承継する前に後継者と会社の雰囲気や方針について入念にイメージをすり合わせるなどの準備が重要になってきます。

廃業に追い込まれる

事業承継の失敗によって招かれる一番避けたいケースとして廃業があります。

事業承継の失敗による廃業は上記にあるような「資金繰りの悪化」や「人材の流出」などを経て段階的に迫ってきます。

そのためあらゆることに目を向けて対策し、小さな失敗の芽でさへ逃さず摘み取ることが大切です。

事業承継の目的の一つとしてシナジー効果を生み出し事業拡大を狙っているという経営者は少なくないでしょう。

しかし入念な準備を怠り、円滑な事業承継ができなかった場合では想定していた業績の改善は見込めないどころか、かえって事業を衰退させるきっかけになってしまうかもしれません。

事業承継の実際の失敗事例をタイプ別に紹介

社内で反発が起こる

後継者が必ずしも経営者として会社にうまく馴染むことができるとは限りません。外部から後継者も招いた場合では特に従業員の全員が納得して後継者を迎え入れるというのは簡単なことではありません。

従業員の中に次期後継者として会社の経営を望んでいた者がいた場合では特にその者と後継者との反発は免れないでしょう。

また、その会社の従業員が後継者として会社を引き継ぐ場合にも注意が必要です。この場合では特に従業員の考え方や従業員同士の関係性などに考慮する必要があるでしょう。

勤務歴の長い古参の従業員の考えなどにも意識し、考慮する必要があります。古参の従業員が自分よりも勤務歴の浅い従業員が経営者になることを良く思わないことは少なくありません。

最悪の場合、会社内で次期後継者に対して「容認派」「反対派」など意見が別れ、派閥ができることも考えられます。

また後継者に反発していた幹部級の従業員がその他の従業員を引き連れて別会社を作ってしまうというケースも考えれます。

起こり得る事態は大小様々ですが、いずれにしても社内での反発が起きれば会社に損害が出ることは免れません。

次期後継者に対して社内での納得を得るために大事なことは事業承継を行う前に、前任社長がどれほど後継者を信頼しているかということを従業員に伝えることです。

社外への信頼の低下

適切な事業承継を行わないことで、取引先が離れてしまうという恐れがあります。

中小企業においては特に会社において経営者の影響力は大きく、経営者自身の信用や力量で取引先を繋ぎ止めているケースは少なくありません。

社長の引き継ぎを丁寧に行わなかった結果、次期後継者に対して取引先が不安感を覚え、契約を解除してしまうという可能性もあります。

主要な取引先との契約が解除されてしまった場合では業績悪化は免れず、廃業への一途をたどってしまうかもしれません。

また金融機関との関係においても前経営者との信頼において成り立っている可能性もあります。

経営者が交代したことによって企業の業績が傾くことは珍しくないため、金融機関も次期後継者の力量を注意深く探っています。

金融機関の信用を得るためにも、後継者が自社の財務状況について深く理解しているということを示すことが重要です。

事業承継前にしっかりと前任社長と後継者が会社の財務状況について話し合い、後継者が会社の財務状況を理解する機会を与えることが大切です。

前経営者の過干渉

前経営者が会社の経営に干渉しすぎる状況が生まれることによって、会社に悪影響が及ぶ恐れがあります。

後継者は自分の意思で会社を動かすことができないため実質的に会社の中での力や信頼を失ってしまいます。そうなるとスムーズな経営判断ができなくなる他、精神的な部分でもモチベーションを保つことは難しくなるでしょう。

具体的な例では、前任の社長が会長として会社に残る場合は注意が必要です。事業承継後も株式の過半数を所持していた場合では実質的には経営権は会長が保有していることになるため、上記のような事態が生じる恐れがあります。

後継者の力不足

中小企業においては経営者の影響力が大きいため、後継者に経営者としての資質が足りなかった場合は退職者の増加や業績の悪化が起こる可能性があります。

優秀な従業員を会社の後継者として社長に据えたとしても経営者としての能力が備わっており、会社をうまく経営することができるとは限りません。

会社を経営していく場合には、従業員に対しての配慮する優しさや取引先との交渉力、重要な事柄を決めるための決断力など様々な能力が必要となります。

誰しもが初めから簡単に身につけられる能力ではないため事業承継をする前に時間をかけて後継者教育をすることが大切です。

事業承継を失敗しないための対策・ポイント

入念な事前準備が必要

事業承継の失敗の大きな要因として考えられるのが準備不足です。事業承継を行う際には様々なことに対処しなければなりません。

それにも関わらず後継者が不在のまま放置していたり、相続問題に対して対策や準備をしていなかったりすると多くのトラブルに見舞われてしまいます。

また丁寧に事業承継を行わないことで、事業承継後に会社内での反発や分裂、会社の信頼の低下などの問題も引き起こしてしまう恐れがあります。

事業承継を甘くみず、丁寧に時間をかけて事業承継を計画し実行していくことが大切です。

専門家のサポートを受ける

事業承継には税務や法務など様々な知識が必要になります。そのため事業承継を検討する際には専門家のサポートを受けることをお勧めします。

無理に自力で進めようとすると思わぬトラブルに巻き込まれる恐れもあり、賢明な判断とは言えません。

事業承継に深く精通する専門家であればこれまでの事例で培ったノウハウを活用して最適な形で事業承継を進めてくれるでしょう。

タイトルとURLをコピーしました